【開発記 第1回】生成AIでグルテンフリーを身近にする。アレルギー判定アプリ「Glu-Suppo」ができるまで

「これ、本当に食べて大丈夫かな……?」

スーパーの棚の前で、パッケージの裏側に書かれた小さな原材料表示をじっと見つめる。グルテンフリーを実践している方や、小麦アレルギーを持つ方にとって、これは日常の風景ではないでしょうか。

しかし、その「確認作業」が、実は想像以上にハードで孤独な戦いであることを、私は身をもって感じてきました。

今回から数回にわたり、そんな「食の不安」をテクノロジーで解決するために開発したAndroidアプリ**「Glu-Suppo(グルサポ)」**の開発記録を連載していきます。第1回は、このアプリが生まれた背景と、企画に込めた想いについてお話しします。


「成分表を見ても、結局わからない」という壁

アプリ開発のきっかけは、私自身の切実な体験にあります。

スーパーで商品を手に取り、原材料名をくまなくチェックする。そこには、聞き慣れない言葉が並んでいます。例えば**「蛋白加水分解物」**。

「これって小麦由来なの?それとも大豆?」 「この調味料、醤油が含まれているけど、醸造過程でグルテンは分解されているの?」

専門知識がなければ判別がつかない。スマホで検索しても、膨大な情報の海に放り出され、最後には「不安だから買うのをやめておこう」と諦めてしまう。そんなことが何度もありました。

既存アプリで感じた「あと一歩」のジレンマ

世の中には便利なバーコード検索アプリが既に存在します。私もそれらを活用してきましたが、実際に使ってみると2つの大きな壁にぶつかりました。

  1. データベースの限界: 新商品や、スーパーが独自に作っているお惣菜は、バーコードをスキャンしても「ヒットしません」と出てしまう。
  2. 判断を丸投げされる: バーコードから成分表が表示されても、結局「どれがリスク成分か」を自分で一行ずつ読み解かなければならない。

「知りたいのは成分表そのものではなく、『今、私の目の前にあるこの商品は安全なのか?』という直感的な答えなんだ」

この確信が、Glu-Suppoのコンセプトを形作りました。

AI(Gemini)という最強のパートナーとの出会い

この課題を解決するために、私は企画設計の段階から**「最新の生成AI(Gemini)」**を導入することを決めました。

単なる文字認識(OCR)でキーワードを検索するだけでは、日本語の複雑な原材料表記には太刀打ちできません。文脈を読み取り、「この成分が含まれているなら、こう判断すべき」という推論ができるAIの知能が必要だったのです。

実は、アプリのコードを書く前の「企画設計」の段階から、Geminiには壁打ち相手として手伝ってもらいました。 「この表記の場合、アレルギーのリスクはどう定義すべきか?」 「ユーザーが一番安心するUIはどんなものか?」

AIと一緒に悩み、組み立てていく過程で、「これなら、今まで誰も解決できなかった悩みを解消できる!」と確信に変わった瞬間がありました。

譲れなかったのは「安全性の伝え方」

開発において、私が最もこだわったのは**「安全性の伝え方」**です。

単に「OK」「NG」と出すだけでは不十分です。なぜ安全なのか、なぜ注意が必要なのか。AIが導き出した根拠を、ユーザーが納得できる言葉で伝える。

「買い物をもっと自由に、もっと楽しくしたい」 そのために、複雑な解析結果をシンプルかつ誠実に伝えるインターフェースを追求しました。


次回予告:技術選定の裏側

「よし、AIで解決しよう!」と決めたものの、個人開発で最新AIをAndroidアプリに組み込むには、数々の技術的なハードルがありました。

次回は、**「Android × Firebase × Gemini API」**という構成を選んだ理由や、セキュリティとスピードを両立させるためのシステム設計について詳しく解説します。